モノか? カネか? それが問題だ!ー実物資産と金融資産の今後の展望についてー
モノ(実物資産)と(カネ)金融資産は、個人や企業が資産を運用する際に重要な要素として位置付けられています。これらの資産は、それぞれ異なる特徴とリスクを持ち、経済状況や市場の動向に応じてその価値が変動します。ここでは、実物資産と金融資産の基本的な概念と、今後の展望について考察します。
実物資産とは
実物資産とは、形のある物理的な資産を指します。具体的には、不動産、貴金属、芸術品、骨董品などが含まれます。これらの資産は、一般的にインフレに対するヘッジとして機能することが多く、物価上昇時にも価値を維持しやすいとされています。
不動産
不動産は、住宅や商業用建物、土地などを含む広範なカテゴリーです。日本においては、人口減少や高齢化の進行により、地域によっては不動産価格が低迷する一方、都市部では依然として高い需要が続いています。また、実物資産の種類の中でもっとも投資として運用しやすいといわれています。その物自体に価値があるだけでなく、貸し出すことで新たな利益を生み出せるからです。
貴金属
金や銀などの貴金属は、長期的な価値の保存手段として古くから利用されています。経済の不確実性が高まる局面では、貴金属への投資が増加する傾向にあります。日本においても、金融市場の変動や円安の影響を受け、金の保有が注目されています。
金融資産とは
金融資産は、株式、債券、預金、投資信託など、形のない資産を指します。これらの資産は、流動性が高く、比較的短期間で売買が可能であるため、ポートフォリオの一部として重要な役割を果たします。
株式
株式は、企業の所有権の一部を意味し、株価の上昇や配当収入を通じて利益を得ることができます。日本株は、国内外の経済動向や企業業績に大きく影響を受けるため、今後も市場の変動が予想されます。特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)※や再生可能エネルギー分野への投資が注目されています。
※企業が、ビッグデータなどのデータとAIやIoTを始めとするデジタル技術を活用して、業務プロセスを改善していくだけでなく、製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革するとともに、組織、企業文化、風土をも改革し、競争上の優位性を確立すること。(読み:ディーエックス)
債券
債券は、政府や企業が発行する借金証書であり、一定期間後に利息と共に元本が返済されます。低リスクで安定した収益を見込めるため、保守的な投資家に人気があります。日本国債は、国内の金融機関や年金基金に広く保有されており、低金利環境が続く中でも安定した需要があります。
今後の展望
実物資産と金融資産の今後の展望を考える際には、経済環境の変化や技術革新を考慮する必要があります。
経済環境
世界経済の不確実性が高まる中で、安全資産としての実物資産の価値が見直される可能性があります。特に、不動産市場では、持続可能な開発やエネルギー効率の高い建物が注目されるでしょう。一方、金融市場では、中央銀行の金融政策や地政学的リスクが影響を及ぼし、株式や債券のパフォーマンスに波及することが予想されます。
技術革新
ブロックチェーン技術※やデジタル通貨の普及により、実物資産と金融資産の境界が曖昧になり、新たな投資機会が創出されるでしょう。例えば、不動産の部分所有やデジタルアートの売買が容易になると考えられます。
※ブロックと呼ばれる単位でデータを管理し、鎖(チェーン)のように連結して保管する金融取引履歴などで利用される技術のこと。
結論
実物資産と金融資産の価値は、それぞれ異なる要因によって影響を受けます。実物資産は主に物理的な需要と供給に左右され、金融資産は市場の動向や政策、経済全体の状況に影響されます。今後の展望として、経済の不確実性が続く限り、貴金属や都市部の不動産は安定した価値を持ち続けると考えられます。一方で、金融資産は政策や国際情勢の変化に敏感であり、投資家は常に最新の情報を元に判断を行う必要があります。
パックス・アメリカーナの終焉が議論されて久しくなります。経済の不確実性と相まってアメリカの国際的影響力の低下は、これまで経験したことのない資産運用状況になることが予想されます。
「カネよりモノ」 現物資産への運用シフトを考える時期がきているのではないでしょうか。